CVCの戦略リターン、なぜ「投資」だけでは足りないの?

CVCが戦略リターンを実現するためには、ただ有望なスタートアップに投資するだけでは不十分です。投資先の企業が成長し、親会社とのシナジーを生み出し、さらにはCVC運営企業自身も革新を続ける必要があります。具体的には、CVC運営企業が自ら新しい事業を生み出す力、そして最新のAI技術を組織に実装する能力が求められます。また、投資先のスタートアップが事業価値を大きく高めるためのサポートも欠かせません。そして、CVC運営そのものが効率的でなければ、限られたリソースの中で最大限の成果を出すことは難しいでしょう。

しかし、これらの異なる領域で高い専門性とケイパビリティをすべて自社で揃えるのは非常にハードルが高いのが実情です。結果として、CVCは「投資の場」に留まりがちで、本来目指すべき戦略リターンがなかなか実現できないという課題に直面していました。今回のBeyondgeとNew Combinatorの提携は、まさにこの課題を解決するために、それぞれの強みを掛け合わせ、3つの領域を一気通貫で支援する体制を構築したと言えるでしょう。

BeyondgeとNew Combinatorってどんな会社?

New Combinator:CVC運営のプロフェッショナル

New Combinatorは、「大企業とスタートアップの新結合を起こす」をミッションに掲げる、CVCファンド運営に特化した独立系ベンチャーキャピタルです。長年にわたり多数の大企業CVCの設立・運営を手がけてきた経験豊富なメンバーが、CVC運営にまつわる深い知見を提供します。共同GP(Co-GP)や2人組合といった多様なスキームでの実践経験を持ち、CVCを「経営戦略の核」へと進化させることを支援しています。

  • 会社名: New Combinator株式会社

  • 代表者: 代表取締役CEO 東條 弘基

  • URL:https://www.newcombinator.com/

  • 事業内容: ベンチャーキャピタル、CVC設立コンサル、CVC運営支援

Beyondge:スタートアップの創出・バリューアップのプロ集団

Beyondgeは、「あたらしい世界のその先へ」をビジョンに、スタートアップの創出・育成・イグジット支援と大企業のグロースハックを強みとするイノベーションスタジオです。事業、採用、投資、M&A、テクノロジーの5領域で非連続な成長を支援しており、アクセラレーションキャピタル「Beyondge Capital」と、業界特化型AIソリューション共創組織「Beyond AI Industry Base」を運営しています。

  • 会社名 : Beyondge株式会社(読み|ビヨンジ)

  • 代表者 : 代表取締役CEO 野上 隆徳

  • URL :https://www.beyondge.com/

  • 事業内容 : スタートアップの創出・育成及び大企業のグロースハック

提携の柱1:CVC運営企業の新規事業を創り、AIを実装する

CVC運営企業が戦略リターンを実現するためには、自社が変革し続けることが不可欠です。この提携では、Beyondgeが持つ新規事業創出とAI実装のノウハウを最大限に活用し、CVC運営企業を支援します。

新規事業創出支援

Beyondgeは、スタートアップとの共同提案型による事業立ち上げに加え、独自のプログラム「M&Axion」を提供します。この「M&Axion」は、M&Aを前提として短期間で新規事業をスケールさせることを目指すもので、戦略策定からターゲットソーシング、デューデリジェンス、PMI(Post Merger Integration:買収後の統合プロセス)までを一貫して伴走します。買収を起点とした非連続な事業立ち上げを支援することで、CVC運営企業はスピーディーに新たな成長ドライバーを獲得できるでしょう。

AI実装支援

今日のビジネスにおいてAIは避けて通れないテーマです。Beyondgeは、業界特化型AIソリューション共創組織「Beyond AI Industry Base」を活用し、CVC運営企業のAI駆動型変革を支援します。大企業の「現場知」とスタートアップの「技術知」を融合させることで、業界特化型AIエージェントの共同開発を進め、さらにAI・デジタル人材の内製化支援も組み合わせることで、企業全体のAI活用能力を高めていきます。これにより、CVC運営企業はAIを活用して業務を効率化し、新たな価値を生み出す力を手に入れることができるはずです。

  • Beyond AI Industry Baseとは?
    大企業の産業知見とAIスタートアップの先端技術を結びつけ、業界特化型AIソリューションを共創する基盤組織です。
    サービスサイト:https://rpo.beyondge.com/ai_industry_base/

提携の柱2:投資先スタートアップの経営から成長までを一気通貫で支援!

CVCが投資したスタートアップが大きく成長することは、CVC自身の戦略リターンに直結します。この提携では、New Combinatorのベンチャーキャピタルとしてのバリューアップ支援と、Beyondgeが運営するアクセラレーションキャピタル「Beyondge Capital」で培われた“共成長型”ハンズオン支援のノウハウを組み合わせ、投資先スタートアップのバリューアップを一気通貫で支援します。

  • Beyondge Capitalとは?
    「Beyond Growth with You」を掲げる、Beyondge独自のアクセラレーションキャピタルです。出資後はCXO・アドバイザーとして経営に直接参画し、大企業ネットワークを活用したオープンイノベーション、自己資金を原資とした柔軟な投資スキームを組み合わせ、スタートアップと“共成長”していく伴走モデルを特徴としています。
    コラム:https://www.beyondge.com/column/beyondge-capital

具体的な支援内容は、各社の成長フェーズに合わせてカスタマイズされますが、例えば以下のようなものが挙げられます。

  • AIサービスの共同創出:スタートアップの技術と大企業のニーズを組み合わせ、市場で競争力のあるAIサービスを共同で開発します。

  • 大企業との戦略的提携・JV設立支援:CVC運営企業だけでなく、Beyondgeが持つ大企業ネットワークを活用し、スタートアップが大企業と連携して事業を拡大するためのサポートを行います。合弁会社(JV)の設立なども視野に入れ、大規模な事業展開を後押しします。

  • 「Go Beyond HR」による経営層・幹部人材の獲得:成長するスタートアップには優秀な人材が不可欠です。経営層や幹部人材の獲得を支援し、組織体制の強化を図ります。

  • バリューアップ広報:スタートアップの認知度向上やブランドイメージ確立のための広報戦略を支援し、事業価値の非連続な引き上げを実現します。

これらの多角的な支援により、投資先スタートアップはより早く、より大きく成長し、CVC運営企業にとって魅力的な戦略リターンを生み出す存在となるでしょう。

提携の柱3:CVC運営をスマートにする「DealFlow for CVC」を共同開発!

CVCの現場では、慢性的なリソース不足や人事ローテーションによる情報の属人化といった課題が常に存在しています。これらの課題は、CVCが本来集中すべき価値創出活動の妨げとなることがあります。そこで、Beyondgeが運営する「Beyond AI Industry Base」のCVC領域向けに、CVC運営に特化したBPaaS(Business Process as a Service)「DealFlow for CVC」を両社で共同開発します。

「DealFlow for CVC」は、CVC運営における非効率な業務をAIとBPaaSの力で効率化し、自動化することで、CVC担当者が本来のミッションである投資戦略の策定や投資先支援、新規事業創出といった活動に集中できる環境を提供することを目指します。これにより、CVC業界全体の生産性向上に貢献し、より多くのCVCが戦略リターンを実現できるような仕組みを構築することが期待されます。

  • DealFlowとは?
    今回の「DealFlow for CVC」の基盤となるBeyondgeの既存サービス「DealFlow」は、M&A買い手業務をAIで効率化するBPaaSプラットフォームです。Notionベースの案件・タスク・仲介会社連携の一元管理ツール、事務作業を代行するBPO、ノンネームシート/IM要約やリスク抽出を自動化するM&AサポートAIの三位一体で、M&A実務の「非効率」「属人化」「情報分散」を解消するプラットフォームとして実績があります。
    サービスサイト:https://www.beyondge.com/service/dealflow

両社の代表コメントから見える熱意

今回の包括的業務提携に際し、両社の代表からは強い期待と意気込みが表明されています。

New Combinator株式会社 代表取締役CEO 東條 弘基氏は、「CVCに求められるのは『投資実行』ではなく、『戦略リターンを実現する』ことです。そのためには、CVC運営企業自身の新規事業創出、投資先スタートアップのバリューアップ、そしてCVC運営の生産性向上——どれが欠けても成立しません。Beyondgeの強みである新規事業創出支援力、投資先への幅広い支援機能、AI実装力を、弊社と組み合わせることで、3つを同時にできる体制が整います。Beyondgeとの連携で、日本のCVCの底上げや更なる進化に貢献していきます。」とコメントしています。

Beyondge株式会社 代表取締役CEO 野上 隆徳氏も、「CVCは、大企業とスタートアップが“新結合”を生むための最重要装置ですが、戦略リターンまで到達できているCVCは決して多くありません。私たちは、Beyondge Capitalを通じたCXO参画による“共成長”の伴走支援、Beyond AI Industry BaseによるAI実装、新規事業創出、M&A、HR、広報まで——Beyondgeグループの総合力を投じて、CVC運営の現場知見を持つNew Combinatorの皆様と共に、日本のCVCを“戦略リターンを実装する装置”へと進化させていきます。」と述べており、両社が一体となって日本のCVCエコシステムを強化していくという強い意志が感じられます。

まとめ:CVCの未来を切り拓く新たな一手

今回のBeyondgeとNew Combinatorの包括的業務提携は、日本のCVC業界にとって非常に重要な意味を持つでしょう。CVCが抱える多岐にわたる課題に対し、両社の専門性と強みを組み合わせることで、これまで以上に包括的かつ実践的な支援体制が構築されます。

CVC運営企業の新規事業創出とAI実装、投資先スタートアップの徹底的なバリューアップ、そしてCVC運営自体の効率化を図るBPaaS「DealFlow for CVC」の開発。これら3つの柱が連携することで、CVCは単なる投資部門ではなく、親会社の経営戦略の中核を担い、持続的な成長とイノベーションを牽引する「戦略リターンを実装する装置」へと進化していくことが期待されます。きっと、この提携が日本のCVCエコシステム全体の底上げと発展に大きく貢献し、新たなビジネスチャンスを次々と生み出すきっかけとなるでしょう。今後の両社の取り組みから目が離せませんね。