店舗を複数運営していると、車両選びは単なる趣味の話じゃなくなる。スタッフの移動、仕入れ、急な現場対応――毎日使うものだからこそ、実用性とコストのバランスが命だ。そんな視点で見たとき、トヨタが2026年にリニューアルしたEV「bZ」は選択肢に入るのか?約1週間、480kmほど試乗したレビューをもとに、現場目線で評価してみたい。
RAV4ユーザーなら違和感なく乗り換えられる設計
bZは見た目こそ独特だが、乗ってみるとトヨタらしい安心感がある。特にRAV4やハリアーといった中型SUVを業務で使っている人なら、ほぼ同じ感覚で運転できるはずだ。
前輪駆動のXLE Plus(日本のZグレード相当)で約480km走った印象としては、高速道路での加速がスムーズで、合流や追い越しにストレスがない。ガソリン車と違ってモーター駆動なので、アクセルを踏んだ瞬間にトルクが立ち上がる。これは配送や急ぎの移動が多い業務では地味に効く。
もうひとつ評価したいのが静粛性と乗り心地だ。バッテリーが床下に配置されているおかげで重心が低く、カーブでも安定している。後部座席に人を乗せても酔いにくいという声もあり、スタッフ送迎や来客対応にも使えそうだ。荷室も十分な広さがあり、什器や在庫の運搬にも困らない。
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航続距離と充電環境――現実的に使えるか
EPA基準での航続距離は約505km。日本のWLTCでは746kmとされているが、実際には米国基準のほうが実走行に近いと考えたほうがいい。それでも500km走れれば、都市部での店舗間移動や日常業務には十分だ。
試乗中、夏場のエアコン使用下でも平均6.6km/kWh程度の電費を記録したとのことで、効率面では合格点。ただし、長距離配送や地方店舗への移動が多い場合は、充電インフラの整備状況を事前に確認しておく必要がある。急速充電の速度が平凡という指摘もあるため、充電待ちの時間を業務スケジュールに組み込めるかがポイントになる。
運転支援システムが「過保護すぎる」問題
ここが最大のネック。bZにはドライバー監視システムが搭載されており、視線の動きを追跡して警告を出す仕組みなのだが、これが異常なほど敏感だ。
左右確認のために肩越しに視線を動かしただけで「不注意を検知しました」と警告音が鳴る。コーヒーを飲んだだけで「前を見てください」。前傾姿勢になると「背筋を伸ばしてください」――正直、うるさい。しかも同乗者がいる状況でも容赦なく鳴るので、業務で使うとスタッフから不満が出る可能性がある。
さらに、S-Flow空調システムという「乗員がいる席だけに空調を送る」機能も、後部座席の検知精度が低いらしい。運転席ばかり監視して、肝心の乗員を見落とすのでは本末転倒だ。
こうした機能は設定でオフにできるのか、納車時にディーラーで確認しておくべきだろう。
店舗運営目線でのコスパと導入可否
トヨタは2026年以降、EV展開を本格化させており、bZに加えてC-HRやハイランダーEVなども投入予定だ。選択肢が増えること自体は歓迎だが、現時点でbZを業務車両として導入するかと言われれば「条件付きでアリ」というのが正直なところ。
メリットは明確だ。静粛性、乗り心地、加速性能、そして500km程度の航続距離は日常業務に十分対応できる。ガソリン代と比較すれば、電気代のほうがランニングコストは安い。
一方で、運転支援システムの過干渉と充電インフラへの依存は無視できないリスクだ。特に複数スタッフが交代で運転する場合、警告音の頻発はストレス要因になる。また、急速充電の速度が平凡なため、充電待ちが業務の足を引っ張る可能性もある。
導入を検討するなら、まずは試乗して警告システムの挙動を確認し、充電環境を整備できるかシミュレーションしておくべきだ。店舗に充電設備を設置できるなら、夜間充電で翌朝フル充電という運用も現実的になる。
まとめ:トヨタらしい堅実さと、EVならではの癖
bZは「EV版RAV4」と呼べるほど、トヨタらしい堅実な作りをしている。乗り心地、静粛性、実用的な航続距離――どれも業務用途に耐えうるレベルだ。
ただし、運転支援システムの過保護ぶりと充電インフラへの依存は、導入前にしっかり検証しておく必要がある。特に複数店舗を運営していて、スタッフが交代で使う車両としては、「誰が乗ってもストレスなく使えるか」が重要だ。
トヨタがEVラインアップを拡充している今、選択肢は増えている。bZが自分の業務スタイルに合うかどうか、まずはディーラーで試乗して確かめてみることをおすすめする。
参考: ギズモード・ジャパン「トヨタ bZ4xは「EV版RAV4」のような素晴らしいSUVだ。ただし小言の多い親のようでもある」
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