「Loki」ってどんなロボット?

「Loki」は、フィジカルAIを搭載した清掃ロボットです。フィジカルAIというのは、ロボットが現実世界で物理的な作業を行いながら、AIがその場の状況を判断し、自律的に最適な行動を決定する技術のこと。つまり、「Loki」はただ決められたルートを動くだけでなく、トイレの形状や汚れ具合、さらには人の利用状況なども考慮しながら、賢く清掃作業を進めてくれるんです。

特に、水回りの清掃は、その性質上、非常にデリケートで複雑な作業が求められます。単に床を拭くだけでなく、便器の内部や洗面台の隅々まで、高い衛生基準を保ちながら清掃する必要があります。「Loki」は、まさにそうした高難度の水回り清掃を自動化することを目指して開発されました。これによって、清掃スタッフの方々の負担を大きく減らし、より快適で清潔なオフィス環境の維持に貢献してくれることが期待されています。

3社協業で実現する次世代スマートビル運営

今回の実証実験は、日鉄興和不動産グループとJDSC、ソフトバンクロボティクスとの間で基本合意書(MOU)が締結され、強力な連携体制のもとで進められています。

本協業の概要

この実証実験の第一フェーズでは、主に以下の3つの取り組みが予定されています。

  1. 「Loki」の国内初実証
    日鉄興和不動産の自社オフィスビルが実証フィールドとなります。ここで「Loki」を導入し、日本のビル環境やトイレの仕様にどれだけ適合できるか、実際に稼働させて検証します。日本のトイレは、海外とは異なる独自の設計や清掃基準を持つことが多いため、この適合性の検証は非常に重要です。また、ロボットがスムーズに動くためのオペレーション方法や、遠隔でロボットを管理・制御する体制についても、実際に試しながら設計していきます。

  2. ロボットの現場適合と持続的運用に向けた運用設計
    実証で得られた「Loki」の稼働データや清掃品質の評価結果を基に、日本のビル環境や清掃オペレーションに合わせた運用設計を共同で策定します。具体的には、どの時間帯に、どの範囲を清掃するかといった稼働スケジュール、万が一ロボットに異常が発生した場合の対応フロー、そして人間とロボットがどのように役割分担すれば最も効率的で高品質な清掃が実現できるか、といった点を細かく検討していく予定です。これは、単にロボットを導入するだけでなく、長期的かつ持続的に運用していくための基盤を作る重要なステップと言えるでしょう。

  3. 知見の共有と横展開
    今回の実証実験で得られた運用ノウハウや貴重なデータは、日鉄興和不動産が運営する他の物件はもちろんのこと、国内の様々な施設への展開可能性についても検討が進められます。この取り組みが成功すれば、将来的には「Loki」のような清掃ロボットが、日本の多くのオフィスビルや商業施設で活躍する日が来るかもしれませんね。

各社の役割

今回の実証実験において、各社はそれぞれの強みを生かした役割を担っています。

  • 日鉄興和不動産グループ: 実証フィールドとなるオフィスビルを提供し、ビル運営側からの具体的な要件や、現場で実際に直面している運用課題を提示します。現場のリアルな声が、ロボット開発や運用設計に反映されることは、実用化に向けて非常に重要です。
    日鉄興和不動産は「人と向き合い、街をつくる」をミッションに掲げ、ビル・住宅・物流・ホテルなど幅広い事業を展開する総合デベロッパーです。今回の取り組みも、都市再生やオープンイノベーションを通じて、街と社会の持続的な価値創造に貢献するという同社の姿勢を象徴していると言えるでしょう。
    詳細はこちら: https://www.nskre.co.jp/

  • JDSC: 実証実験全体のリード役を務め、フィジカルAIやAIエージェント活用の知見に基づいて、実証設計や運用設計を支援します。また、実証で得られた成果を他の施設へ横展開していくための支援も行います。
    JDSCは、AIエージェントとデータサイエンスを核に、日本の基幹産業の変革を進めるテクノロジーカンパニーです。製造・物流・インフラ・公共など、様々な現場でDXやAX(AI Transformation)を推進しており、今回の清掃ロボット実証も、社会課題を解決し、新たな産業スタンダードを創り出すという同社のビジョンに沿ったものです。
    詳細はこちら: https://jdsc.ai/

  • ソフトバンクロボティクス: 「Loki」の調達を担当し、ロボットを運用するための基盤を提供します。また、ロボットの遠隔オペレーションや運用検証も行い、スムーズな稼働をサポートします。ロボット運用に関する豊富な経験とノウハウが、この実証実験の成功に不可欠な役割を果たすでしょう。

未来のビルメンテナンス、そしてスマートビルへ

この実証実験は、2026年8月から第一フェーズが開始されました。この取り組みを通じて、日本のビルメンテナンス領域における清掃ロボットの実用化モデルが確立されることを目指しています。

将来的には、フィジカルAIを搭載した「Loki」のようなロボットと、AIエージェントを組み合わせることで、BM業務全体のさらなる高度化・自動化へと統合していくことも視野に入れているとのこと。例えば、AIエージェントがビルの利用状況やセンサーデータから清掃の必要性を判断し、Lokiに最適な清掃ルートやスケジュールを指示する、といったことも可能になるかもしれません。

これは、単に清掃を自動化するだけでなく、ビル全体のエネルギー管理やセキュリティシステムなど、他のスマートビル機能とも連携することで、より効率的で快適、そして持続可能な次世代スマートビル運営のスタンダードをリードしていくことにつながるでしょう。きっと、私たちのオフィス環境は、もっとスマートで快適なものに進化していくはずです。

人手不足という社会課題を解決しながら、清掃品質の向上やコスト削減にも貢献する清掃ロボット「Loki」の実証実験は、日本のビルメンテナンス業界、ひいては私たちの働き方や生活の質を向上させる大きな可能性を秘めています。今後の進展に、ぜひ注目していきましょう!