「ノパルノ研究室」が切り拓くサボテンの可能性

今回のサボテンアイス開発を手がけたのは、名城大学農学部生物環境科学科の植物機能科学研究室に所属する学生たち。近藤歩教授を中心に、食用の「ウチワサボテン」の一品種である「ノパル」にちなんで名付けられた「ノパルノ研究室」として活動しています。

彼らの活動は多岐にわたります。名城大学の附属農場がある春日井市は、実は全国有数の食用サボテンの産地。ノパルノ研究室は、この春日井市の特産サボテンの研究を通じて、サボテン入りのピタパンサンド「エスニックサボーレ」といった商品の開発・販売にも積極的に取り組んできました。さらに、サボテンの普及活動やその魅力の発信、そして春日井市の地域活性化にも貢献しようと、日々奮闘しているのです。

「サボテン」と聞くと、砂漠に生えているトゲトゲした植物をイメージする方が多いかもしれません。しかし、食用サボテンは、その見た目からは想像できないほどの栄養価を秘めていることが知られています。特に、夏場の健康維持に欠かせないミネラルが豊富に含まれており、熱中症予防にも役立つと言われています。ノパルノ研究室の学生たちは、このサボテンの持つポテンシャルに注目し、新たな食の可能性を追求しています。

白い背景に、緑色のウチワサボテンの葉(ノパル)が横一列に並べられています。それぞれの葉には小さな白い棘の跡が見られます。シンプルで清潔感のある構図です。

試行錯誤の末に誕生した「サボテンアイス」

サボテンアイスの開発に取り組んだのは、4年生の山下愛叶さん、加古千紘さん、堀内瞳さんの3人です。実は、サボテンアイスのアイデア自体は、彼女たちの先輩たちが昨年11月に東京で開催された「アグリビジネス創出フェア」に出展した際、来場者へのアンケートで「サボテンを使った商品として最も関心が高かった」という背景がありました。この結果を受け、先輩たちからバトンを受け継ぐ形で、今年4月から本格的にレシピ開発がスタートしました。

先輩たちの初期レシピでは、ウチワサボテンのトゲを丁寧に取り除き、サボテン特有の青臭さを消すために一度茹でてから刻むという工程がありました。そこにパイナップル、牛乳、砂糖、生クリームを加えてミキサーでペースト状にし、冷凍庫で固めてアイスにするというものでした。

この基本レシピを元に、山下さんたちは約2カ月間、試作を繰り返しました。材料の分量や配合、加熱時間など、細部にわたって試行錯誤を重ねた結果、ついに「メロンのような味」で「ジェラート風のシャリシャリとした食感」を持つ、理想のサボテンアイスを完成させたのです。見た目からは想像できない、爽やかな味わいと独特の食感が、きっと多くの人を魅了することでしょう。

室内で3人の女性が手袋を着用し、テーブル上で牛乳や野菜を使ってドリンクを準備している。ブレンダーも使用されており、共同で調理作業を行っている様子が伺える。

「喫茶マウンテン」との運命的なコラボレーション

今回、サボテンアイスの販売場所として選ばれたのは、名古屋市昭和区に店を構える「喫茶マウンテン」です。この喫茶店は、以前からサボテンを具材に使ったスパゲッティやピラフを提供しているという、まさにサボテン料理のパイオニア的存在。

「マウンテン」と書かれた大きな看板が目立つ、日本の街角の風景。隣には「BONTAIN coffee」の小さな看板があり、喫茶店の存在を示唆している。道路を自転車で走る人が見え、遠くには教会の尖塔も確認できる。全体的に曇り空で、日常的な情景が広がっている。

喫茶マウンテンのオーナーである加納真史さんは、以前から山下さんたちの先輩にサボテン料理に関してアドバイスをするなど、ノパルノ研究室とは縁がありました。そのため、学生たちがサボテンアイスの「商品化」を提案したところ、快く承諾してくれたとのことです。

加納オーナーと学生たちは、サボテンアイスを最大限に活かす方法を検討。試作を重ねた結果、サボテンアイスにサボテンジャム、生クリーム、バニラアイス、そして彩り豊かなサクランボを盛り合わせた「サボテンパフェ」として提供することが決定しました。このパフェは、サボテンの魅力を存分に楽しめる、見た目も華やかな一品になることでしょう。

グラスに入った抹茶色のパフェで、上にはホイップクリームと赤いサクランボが飾られています。カフェのような場所で提供されている美味しそうなデザートです。

学生たちの熱い思いと期待

このサボテンパフェは、7月14日から19日までの6日間限定で、「喫茶マウンテン」にて500円で提供されます。学生たちは、春日井市の農家から仕入れたサボテンを使い、計4リットルものサボテンアイスを手作りし、喫茶マウンテンに納品しました。ただし、サボテンアイスがなくなり次第、販売は終了となるため、気になる方は早めに足を運ぶのがおすすめです。

加納オーナーは、「サボテンはまだあまりなじみがありませんが、『こういう食べ方があるんだ』『サボテンは体にいいんだ』ということが広まればおもしろいですね」と、このコラボレーションに大きな期待を寄せています。

サボテンアイスの開発に情熱を注いできた山下さん、加古さん、堀内さんの3人は、「熱中症予防への関心が高まっているので、暑くなる前に販売を始めたい」という強い思いを持っていました。販売前に自分たちで試食した際には、「サボテンのつぶつぶ感がいい食感で、おいしくて食べやすい」と、その出来栄えに満足そうな笑顔を見せたそうです。

彼女たちは、このコラボレーション企画を通じて、より多くの人にサボテンの魅力を知ってもらいたいと願っています。ミネラルが豊富で保水力や栄養価にも優れたサボテンは、「持続可能な食の資源」としても大きな期待が寄せられています。また、この機会に、春日井市が全国有数の食用サボテンの産地であることも広く認知されることを目指しています。

この夏、名城大学の学生たちが丹精込めて作り上げた「サボテンアイス」を使った「サボテンパフェ」で、暑い夏を乗り切りながら、サボテンの新たな魅力と可能性を発見してみてはいかがでしょうか。学生たちの熱い思いが詰まったこのパフェは、きっと忘れられない夏の思い出になることでしょう。