日本のハイブリッドクラウド市場が急成長の予感!
世界の市場調査資料を販売する株式会社マーケットリサーチセンターが、「ハイブリッドクラウドの日本市場(~2031年)、英文タイトル:Japan Hybrid Cloud Market Overview, 2030」という調査資料を発表しました。このレポートによると、日本のハイブリッドクラウド市場は2030年までに109億4,000万米ドルを超える規模に達すると予測されています。これは、単なるITシステムの近代化にとどまらず、日本ならではの課題や戦略的なデジタル優先事項によって、着実に成長していることを示しています。
なぜ今、ハイブリッドクラウドが注目されるの?
日本の企業は、データのプライバシー保護や、さまざまな規制への対応、そしてシステムの安定した運用をとても大切にしています。その一方で、デジタル化の波に乗って、最新のデジタルインフラを構築したいという思いも強く持っています。そこで注目されているのが、パブリッククラウドの柔軟性と、プライベートクラウドのセキュリティを両立できるハイブリッドクラウドモデルなんです。
特に、これまでITシステムの導入に慎重だった製造業や金融業、公共サービス分野の企業も、古いシステムを大切にしつつ、ビジネスを大きく成長させるためにハイブリッドクラウドへの移行を進めています。「Society 5.0」のような国の取り組みや、5Gの普及、エッジコンピューティングの進化も、ハイブリッドクラウドの採用を強力に後押ししています。さらに、日本の高齢化社会が進むにつれて、自動化やAIを活用したサービスへのニーズが高まっており、これらを効率的に支えるのがハイブリッドクラウドのフレームワークだと言えるでしょう。
「個人情報の保護に関する法律(APPI)」のような規制がある日本では、企業は大切なデータを自社の施設内で管理しつつ、機密性の低いデータはパブリッククラウドで処理するといった、柔軟な使い分けができるソリューションを求めています。また、地域ごとのクラウド導入や、東京、大阪、福岡といった主要都市でのスマートシティ開発に対する政府の支援も、ハイブリッドクラウドへの投資をさらに加速させています。
世界的なクラウドプロバイダーであるMicrosoft Azure、Google Cloud、AWSなども、日本国内のデータ主権や通信の遅延(レイテンシ)に関する懸念に応えるため、日本の企業と協力して国内にデータセンターを設けたり、ハイブリッドソリューションを提供したりしています。
成長を支える多様な要因
日本のハイブリッドクラウド市場の成長は、多岐にわたる要因によって支えられています。自動車製造や医療といった主要産業では、高性能なコンピューティング環境が必要とされる一方で、日本の厳しいデータ取り扱い基準を守る必要があります。ハイブリッドシステムは、まさにこのニーズに応えるものとして期待されています。
また、日本は自然災害のリスクが高い国です。そのため、災害が発生した際のデータ復旧や事業継続のための対策として、ハイブリッドクラウドへの関心が高まっています。クラウドの俊敏性と物理インフラの冗長性を組み合わせることで、万が一の事態にも強いシステムを構築できると多くの企業が考えているのです。
総務省が推進する地方のデジタルトランスフォーメーション政策も、市場の成長を後押ししています。地方自治体や中小企業は、NTTやKDDIといった国内の通信キャリアと連携して、ハイブリッドシステムを導入するケースが増えています。さらに、新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降、遠隔医療やリモートワークソリューションの導入が急速に進んだことも、安全で拡張性の高いプラットフォームとしてのハイブリッドクラウドの需要を高めています。
IT予算が厳しくチェックされる保守的な企業においても、ハイブリッドクラウドは、コストパフォーマンスを最適化する有効な手段です。プライベートクラウドだけでは初期投資が高額になりがちですし、パブリッククラウドだけではデータがどこに保存されるかというリスクがあります。ハイブリッドクラウドは、これらのバランスを上手に取ることができるため、多くの企業にとって魅力的な選択肢となっているのです。
デジタル庁が全国的なクラウド戦略を展開する予定であることや、スマートインフラとカーボンニュートラル目標を両立させる動きも、今後のハイブリッドクラウドへの投資判断に大きな影響を与えることでしょう。
サービスモデルのトレンドをチェック!
日本のハイブリッドクラウド市場では、様々なサービスモデルが活用されています。それぞれの特徴を見ていきましょう。
SaaS(Software as a Service)が市場をリード
顧客向けのアプリケーションや、日々の業務効率を高める生産性向上アプリケーションで広く使われているSaaSは、ハイブリッドクラウド環境において主導的な地位を占めています。小売業、教育機関、金融業界の企業は、SaaSベースのERP(統合基幹業務システム)やCRM(顧客関係管理)、コミュニケーションツールなどを導入して業務を効率化しています。その一方で、中核となる重要なデータは自社のプライベートインフラに保持するといった使い分けがされています。例えば、Microsoft 365やSalesforceといったSaaSツールは、多くの場合、既存のローカル業務用ソフトウェアと連携させ、ユーザーの使いやすさを損なわずにコンプライアンス基準を満たすために、ハイブリッドモードで展開されているんです。
IaaS(Infrastructure as a Service)は基盤を支える
IaaSは、製造業や通信業など、昔から使われているシステム(レガシーシステム)が根強く残る業界で広く利用されています。これらの企業は、パブリッククラウドに接続されたデータセンター内で、自社で開発したアプリケーションや仮想マシンをホストしています。オンプレミス環境とクラウド環境の間で、ワークロードを柔軟に移動させることができるため、小売業の繁忙期や大規模なデジタルキャンペーンなど、一時的にシステムへの負荷が急増する時期でも、必要なだけ性能を拡張できるのが大きなメリットです。
PaaS(Platform as a Service)が成長を加速!
PaaSは、現時点では市場シェアがまだ小さいものの、日本企業がソフトウェア開発を加速させるためにDevOpsやコンテナ化、ローコードプラットフォームを活用する中で、最も急速に成長しているセグメントです。熟練したIT人材が減少している状況において、PaaSはインフラの管理負担を軽減しつつ、アジャイル開発(素早い開発手法)を可能にするため、大きな注目を集めています。企業は、地域に特化したAIモデルの構築、スマートファクトリーにおけるIoT(モノのインターネット)エコシステムの展開、そして既存のレガシーシステムに影響を与えることなく新しいサービスを統合するために、ハイブリッドPaaSの導入をますます進めているんですよ。
コンポーネント別の動向
ハイブリッドクラウドは、ソリューションとサービスという二つの主要なコンポーネントで構成されています。
ソリューションが主流
現在、ハイブリッドクラウド市場では「ソリューション」の提供が主流となっています。企業がプラットフォームへの投資、仮想化技術の導入、そしてストレージインフラのアップグレードを優先しているからです。これらのソリューションは、多くの場合、システム全体の調整を行うオーケストレーションツールやセキュリティ層と統合されており、オンプレミス、パブリッククラウド、プライベートクラウドにまたがる複雑なハイブリッド環境の管理という、企業が抱える多様なニーズに対応しています。
例えば、日本の銀行では、機密性の高い金融データを社内で厳重に管理しつつ、大規模なデータ分析にはパブリッククラウド環境を利用するといった、カスタマイズされたハイブリッドソリューションが活用されています。また、ロボット工学やエレクトロニクス分野の製造業者は、世界中に点在する拠点間で、生産計画や運用を同時に進めるためのハイブリッドクラウドプラットフォームを必要としています。特に、企業が産業用IoTデバイスからのデータと、従来の基幹システムからのデータの両方を扱う中で、データ統合、バックアップ、そしてワークロード移行ツールは、非常に需要の高い不可欠なソリューションコンポーネントとなっています。
サービスが最も急速に成長
一方、「サービス」は最も急速に成長しているコンポーネントです。企業が日本の複雑な規制環境に対応し、また社内のITスキル不足を補うために、外部の専門知識を求める傾向が強まっているためです。富士通、NEC、日立といった国内のマネージドサービスプロバイダー(MSP)やシステムインテグレーターは、海外のクラウドベンダーと協力し、顧客の具体的なニーズに合わせたハイブリッド戦略を構築しています。これには、プライベートネットワークの統合や、コンプライアンス監査なども含まれます。
Kubernetesの導入支援や、ハイブリッドAIモデリングを含むクラウドネイティブなサポートサービスも、インフラを全面的に刷新することなく、既存システムを最新化したいと考える企業の間で採用が進んでいます。サービスの需要拡大は、特に重要な業務(ミッションクリティカルなワークロード)を扱う業界において、ハイブリッド型ディザスタリカバリ・アズ・ア・サービス(DRaaS)やハイブリッド型セキュリティ・アズ・ア・サービス(SECaaS)といった新しいサービスの登場によっても牽引されています。
企業規模別の市場動向
ハイブリッドクラウドの導入は、企業規模によっても異なる傾向が見られます。
大企業が導入を牽引
日本では、多層的なITアーキテクチャへの投資能力や、複雑な規制への対応能力を持つ大企業が、引き続きハイブリッドクラウド導入を牽引しています。自動車、金融サービス、エレクトロニクス分野の日本の大手複合企業は、古いメインフレームシステムと最新のクラウドネイティブアプリケーションを統合するために、ハイブリッドクラウドへの移行を進めています。これらの企業の利用例は、グローバルなサプライチェーン全体の状況を把握することから、リアルタイムの顧客体験管理に至るまで多岐にわたります。クラウドプラットフォームは、各地域のオフィスや海外拠点にあるプライベートインフラと連携して稼働しています。
こうした大企業は、業務データを国内のサーバー内に保持しつつ、パブリッククラウドのサンドボックス環境でAI、機械学習、ビッグデータ分析の実験を行うといった、「制御されたイノベーション」のためにハイブリッドシステムを採用することがよくあります。これにより、セキュリティを確保しながら新しい技術を安全に試すことができるのです。
中小企業も急速に成長
一方、中小企業(SME)は、政府の補助金やクラウド導入コストの低下、そしてこの市場向けに最適化されたシンプルで使いやすいハイブリッドソリューションに後押しされ、最も急速に成長しているセグメントです。ソフトバンクや楽天のような通信事業者は、ホテル、物流、地域の小売業などの中小企業が、既存のインフラを大きく変えることなくデジタルツールを導入できるよう支援する、モジュール式のハイブリッドパッケージを提供しています。
POSシステムとクラウドベースの分析機能を連携させたり、工場のセンサーとモバイルダッシュボードを接続したりするなど、システム機能を拡張できるハイブリッドクラウドの能力は、中小企業にとって魅力的なアップグレードの道筋となっています。また、業界に特化したテンプレートの提供、サイバーセキュリティ強化に対する規制面での支援、そして地元の商工会議所とクラウドソリューションベンダーとの連携強化も、中小企業の需要をさらに後押ししています。
ハイブリッドクラウドって、そもそも何?
ここで、ハイブリッドクラウドについてもう少し詳しく見ていきましょう。ハイブリッドクラウドとは、企業がデータ処理と管理を行う際に、プライベートクラウドとパブリッククラウドを組み合わせて利用するクラウドコンピューティングのモデルを指します。これにより、企業はプライベートクラウドが持つセキュリティや制御のメリットを享受しながら、パブリッククラウドのスケーラビリティ(拡張性)やコスト効率の良さを活用できるため、多様なビジネスニーズに合わせた柔軟な運用が可能になるんです。
ハイブリッドクラウドの種類
ハイブリッドクラウドにはいくつかの利用形態があります。
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ピーク需要対応型: 普段はデータやアプリケーションをプライベートクラウドで運用し、季節的なピーク時や急な需要の増加に対応するためにパブリッククラウドのリソースを利用する形です。この方法を使えば、企業はコストを抑えつつ、必要な時にだけリソースを効果的に活用できます。
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機能分割型: 企業が特定の業務機能や機密性の高いデータをプライベートクラウドに保管し、アプリケーションの一部をパブリッククラウドで実行する方式です。これにより、大切なデータを厳重に保護しながら、公開されているAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)やサービスを柔軟に利用して、アプリケーションを開発・運用することが可能になります。このように、ハイブリッドクラウドは特定のニーズに合わせて様々なアプローチが取れるため、企業は自社のビジネス戦略に最も適した構成を選べるのが魅力です。
ハイブリッドクラウドの用途
ハイブリッドクラウドの用途は非常に多岐にわたります。
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データバックアップと災害復旧: 企業がデータのバックアップや災害復旧の戦略を立てる際に、ハイブリッドクラウドはよく活用されます。プライベートクラウドにデータを保存し、万が一の際にはパブリッククラウドのリソースを使って迅速にデータを復旧させることができます。
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アプリケーション開発: アプリケーション開発の現場でもハイブリッドクラウドは重要です。開発者は、プライベートクラウド環境で開発やテストを行い、その後、パブリッククラウド上で本番環境を運用するといった使い方ができます。これにより、開発の効率を高め、新しいサービスを市場に出すまでの時間を短縮できます。
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データ分析とビッグデータ処理: 大量のデータを迅速に処理する必要がある場合、パブリッククラウドの持つ高いスケーラビリティを利用することで、素早いデータ分析が可能になります。特にビッグデータ処理においては、ハイブリッドクラウドが非常に有用です。
ハイブリッドクラウドを支える技術
ハイブリッドクラウドを構成する上で欠かせない関連技術も進化を続けています。
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コンテナ技術とマイクロサービスアーキテクチャ: コンテナ技術はアプリケーションのパッケージングを効率化し、マイクロサービスアーキテクチャはサービスごとに独立した開発とデプロイを可能にします。これらの技術は、ハイブリッドクラウドの柔軟性をさらに高め、複雑なシステムをより簡単に管理できるようにしてくれます。
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APIゲートウェイとクラウド管理プラットフォーム: APIゲートウェイは異なるクラウドサービス間の通信を効率的に管理し、クラウド管理プラットフォームは複数のクラウド環境を一元的に管理するためのツールです。これらにより、企業はリソースの最適化やコスト管理が容易になり、運用効率を向上させることができます。
ハイブリッドクラウドは、データの保護、コスト管理、スケーラビリティ、そして開発効率の向上など、企業が直面する様々な課題に対して柔軟な解決策を提供します。今後、さらにデジタル化が進む中で、企業が競争力を維持・強化するための強力なツールとして、ハイブリッドクラウドの活用がますます期待されることでしょう。
レポートの詳細について
この調査レポートでは、過去データ対象年(2019年)、基準年(2024年)、推計年(2025年)、予測年(2030年)を設けて分析されています。市場規模、予測、セグメント別分析のほか、様々な推進要因と課題、進行中のトレンドと動向、主要企業プロファイル、戦略的提言などが盛り込まれています。
本レポートで取り上げる側面
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ハイブリッドクラウド市場(市場規模、予測、およびセグメント別分析)
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様々な推進要因と課題
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進行中のトレンドと動向
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主要企業プロファイル
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戦略的提言
サービスモデル別の内訳
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サービスとしてのソフトウェア(SaaS)
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サービスとしてのインフラストラクチャ (IaaS)
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プラットフォーム・アズ・ア・サービス(PaaS)
コンポーネント別の内訳
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ソリューション
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サービス
企業規模別の内訳
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大企業
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中小企業
レポートは、一次調査と二次調査を組み合わせたアプローチで作成されており、業界コンサルタント、メーカー、サプライヤー、関連業界団体・組織、政府機関、およびその他のステークホルダーにとって、市場中心の戦略を策定する上で有用な情報源となるでしょう。
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