事業会社の約9割がレガシーシステムを保有、刷新は停滞気味

今回の調査で、まず驚くべきは、事業会社の実に90.3%がレガシーシステムを保有しているという事実です。これは、ほとんどの企業が何らかの形で古いシステムを抱え、刷新の必要性に直面していることを示しています。

事業会社のレガシーシステム保有状況を示す円グラフ

さらに、レガシーシステムを保有する事業会社のうち、77.2%が刷新に着手しているものの、21.5%は「刷新したいが着手できていない」と回答しています。必要性を感じながらも、具体的な行動に移せていない企業が2割強存在し、レガシー問題の解決が停滞している状況がうかがえます。

レガシーシステムの刷新状況を示す円グラフ

設計書は4割未満が最新状態、属人化も顕著

レガシーシステム問題の根底にあるのが、システム設計書の不備です。現行システムの設計書が「すべて最新の状態」に更新されている企業は、事業会社で39.6%、SIer・ITベンダーで32.1%にとどまっています。つまり、半数以上の企業で設計書が最新の状態に保たれていないのです。

現行システムの設計書の更新状況を示す棒グラフ

設計書が十分に整備されていない要因として、事業会社では「レガシー言語での設計書管理・更新が負担」(54.4%)が最多でした。一方、SIer・ITベンダーでは「改修・運用が優先され設計書更新の優先度が下がっている」(57.5%)が最も多く挙げられています。

設計書が十分に整備されていない要因を示す棒グラフ

また、システムを扱える担当者の状況を見ると、いずれの言語でも3割以上の企業で特定の担当者に依存している「属人化」の傾向が顕著です。特にPythonやPL/Iでは属人化が進み、RPGやJavaでは外部ベンダーへの依存が高い結果となりました。

使用されている言語を扱える担当者の状況を示す棒グラフ

属人化の最大の理由として、「長年同じ担当者が保守・改修を対応してきた」(71.5%)が挙げられています。これに「レガシー言語を扱える人材が限られている」(53.4%)、「設計書やドキュメント整備が不十分」(34.1%)が続きます。長年の運用の中で、特定の個人に知識が集中し、それが共有されないままになっている実態が浮き彫りになりました。

扱える言語が特定の担当者に属人化している理由を示す棒グラフ

約8割が業務継承で支障を経験、事業継続リスクに直結

設計書が未整備な状態での改修・刷新・引き継ぎには、様々なリスクが伴います。最も多く指摘されたのは「改修や障害対応時の影響範囲が不明確」(62.4%)で、次いで「障害発生時の対応が遅れる」(57.6%)、「品質を担保しづらい」(42.4%)となりました。これらのリスクは、日々の運用だけでなく、緊急時にも大きな問題を引き起こす可能性を示唆しています。

設計書が不十分な状態での改修・刷新・引き継ぎリスクを示す棒グラフ

実際に、レガシーシステムによって業務引き継ぎやシステム継承に支障が生じた経験がある企業は、事業会社で79.9%、SIer・ITベンダーで85.2%に上ります。これは、レガシーシステムの問題が単なるIT課題に留まらず、事業継続における具体的なトラブルの引き金になっていることを明確に示しています。

レガシーシステムにより業務引き継ぎやシステム継承に支障が生じた経験の有無を示す棒グラフ

具体的な支障例としては、以下のような声が聞かれました。

  • 開発を委託していた事業者が廃業し、システム障害発生時の原因特定に非常に苦労した。

  • 担当者が急に退職し、十分な引き継ぎができていなかったため、システムの仕様が分からず対応に時間がかかった。

  • 設計書が存在しない機能があり、法令改正対応の際もソースコードを直接確認するしかなかった。

  • 移行検討時に設計書が最新状態ではなく、結局設計資料を作り直す必要があった。

  • 改修を行うたびに、影響範囲を事前に調査しないとリスクが判断できず、毎回大きな工数が発生している。

これらの具体的な事例は、設計書や引き継ぎ資料の不足、システム構造の把握不足、属人化といった問題が、いかに現実的な業務上の困難を引き起こしているかを物語っています。

レガシーシステムによる支障が生じる背景を示す棒グラフ

今後の業務引き継ぎやシステム継承において不安を感じる点として、「システム全体像を把握できていない」(43.3%)、「改修・障害時の影響範囲を判断できない」(40.0%)、「ソースコードや仕様を説明できる担当者が限られている」(36.7%)が上位を占めています。構造理解の不足が、将来のリスクと直結している状況が示唆される結果です。

今後の業務引き継ぎやシステム継承において不安を感じる点を示す棒グラフ

レガシー問題の本質は「構造が見えていない状態」

ROUTE06取締役の松本 均氏は、今回の調査結果について、「レガシー刷新の前段階である『現状把握』に、多くの企業が課題を抱えていることがわかりました。設計書が最新状態に維持されている企業は4割に満たず、属人化も顕著です。人材の高齢化や退職が進むことで、そのリスクは一層高まる可能性があります」とコメントしています。

そして、松本氏はレガシー問題の本質について、「レガシー問題は『古い技術』の問題ではなく、『構造が見えていない状態』の問題です。システム刷新の前に、まずは自社システムの全体像を把握できているのかを見つめ直すことが、事業継続性を確保するうえで重要な第一歩となるでしょう」と強く訴えています。

AI要件定義「Acsim」でレガシー問題の解決を支援

ROUTE06が提供するAI要件定義「Acsim(アクシム)」は、属人化しやすい要件定義プロセスにおいて、AIが推進者の思考を補完・強化し、誰もが要件定義できる世界を目指す生成AIプラットフォームです。

Acsimのインターフェースを示す画像

Acsimは、現状把握から課題抽出、改善方針提示、プロトタイプ構築、稟議支援、そして設計書の自動出力まで、要件定義に必要なプロセスを一貫して支援します。生成された設計情報は構造化データとして蓄積され、実装やテストといった後続工程でも活用可能です。これにより、開発全体の品質向上と意思決定の精度・スピードの飛躍的な向上が期待されます。

Acsimサービスサイト:
https://ai.acsim.app

ROUTE06について

株式会社ROUTE06は、人とAIの協創を通じてプロダクト開発を再定義するスタートアップです。自然言語による対話と直感的なノードUIを融合したユーザー体験を軸に、要件設計「Acsim」、AIエージェント構築「Giselle」、データベース設計「Liam」などのAI駆動開発プラットフォームを提供しています。設計・実装・運用の全工程に対応し、開発のスピードと品質を革新することを目指しています。

大手企業向けシステム開発の実績とモダンなプロダクト開発の知見を活かし、大手システムインテグレーターからスタートアップまで、すべてのプロダクトビルダーが自由にアイデアを形にできる未来を目指しています。

株式会社ROUTE06 公式サイト:
https://route06.com/jp

調査概要

  • 調査名称:レガシーシステムの実態調査

  • 調査機関:Fastask

  • 調査対象:基幹システムの企画・刷新に関与する部署の管理職、およびSIer・ITベンダーで要件定義に関わる担当者

  • 調査方法:Webアンケート

  • 調査日:2026年2月10日~2026年2月13日

  • 有効回答数:327件(事業会社:165件/SIer・ITベンダー:162件)

今回の調査結果は、多くの企業が抱えるレガシーシステム問題の深刻さを改めて浮き彫りにしました。設計書の不備、特定の担当者への知識集中、そしてそれに伴う業務継承の困難さは、現代のビジネスにおける喫緊の課題と言えるでしょう。ROUTE06が提供するAcsimのようなソリューションが、これらの課題解決の一助となることが期待されます。