AI時代の課題を解決する新技術
AIのモデルがどんどん大きくなり、処理も複雑になるにつれて、GPUクラスタの重要性はますます高まっています。でも、これまでのやり方だと、いくつかの課題があったんです。
例えば、一つのデータセンターにGPUを集中させると、処理量の変動に対応しきれなかったり、必要なリソースを確保するのが難しかったりすることがありました。データセンターごとに電力供給の制限があったりするのも頭の痛い問題ですよね。そんな課題を解決するために注目されているのが「データセンターの分散化」です。
各地に点在する大量のデータを、まるで隣り合わせにあるかのように高速でやり取りできれば、もっと柔軟に、もっと効率的にAIを動かせるはず。そんな未来を目指して、NTTドコモビジネスがすごい取り組みを始めました!
新時代の幕開け!「GPU over APN Testbed」って何?
NTTドコモビジネスは、低遅延・高速大容量通信を実現する「IOWN® APN」というネットワーク技術を活用し、全国に分散配置されたGPUリソースを、あたかも一つの大きなプラットフォームのように利用できる実証環境「GPU over APN Testbed」の提供を開始しました。

< 「AI-Centric ICTプラットフォーム(R)」構想のイメージ >
この実証環境は、札幌、金沢、福岡、大阪、そして首都圏4ヶ所(横浜、川崎、三鷹、千葉、秋葉原など)のなんと合計8拠点にGPUを分散配置しているんです。それぞれの拠点にあるGPUをIOWN® APNでつなぐことで、遠く離れた場所にあるGPU同士でも、まるで目の前にあるかのように連携して動かせるようになります。
これまで、物理的な距離やネットワークの遅延がネックになっていたGPU間の連携が、IOWN® APNを使うことで劇的に改善されるわけですね。これにより、分散AI学習や分散AI推論、さらには「RDMA」という技術を活用した拠点間の大容量データ転送といった、最先端のAIワークロード検証を、100Gbps級の低遅延・高速大容量通信環境とGPU環境で試すことができるようになりました。これはまさに、分散されたGPUリソースの活用を「体験できる」共同実証の場なのです。
IOWN APNが実現する“超高速・低遅延”の世界
「IOWN® APN」って聞き慣れない言葉かもしれませんが、これはNTTグループが推進する革新的なネットワーク技術「IOWN®」を構成する主要な技術の一つなんです。具体的には、端末からネットワークまで、すべてに「フォトニクスベース(光)」の技術を導入し、エンド・ツー・エンドで光の波長パスを提供する波長ネットワークを目指しています。
これにより、圧倒的な低消費電力、そして何よりも高速大容量かつ低遅延の伝送が可能になります。なぜこれがAIにとってそんなに重要なのでしょうか?
AIの学習や推論では、膨大なデータをGPU間でやり取りする必要があります。従来のネットワークでは、このデータ転送に時間がかかったり、遅延が発生したりすることが、AIの処理性能を最大限に引き出す上でのボトルネックになっていました。しかし、IOWN® APNの超高速・低遅延通信なら、地理的に離れた場所にあるGPU間でも、まるで一台のスーパーコンピューターのように一体的に連携させることができるんです。
これにより、例えばある拠点で生成AIのモデルを学習させながら、別の拠点でそのモデルを使って推論を行う、といった複雑で大規模なAI処理を、遅延を気にせずスムーズに行えるようになります。これはAIの可能性を大きく広げる、まさにゲームチェンジャーと言えるでしょう。
NTT Comは、2024年10月7日にはIOWN APNを活用した分散データセンターでの生成AI学習実証実験に世界で初めて成功しています。この実績が、今回の「GPU over APN Testbed」提供へとつながっているわけですね。
NTT Com、IOWN APNを活用した分散データセンターでの生成AI学習実証実験に世界で初めて成功
全国各地のGPUをまるで一つに!分散配置のすごさ
「GPU over APN Testbed」のもう一つの大きな特徴は、全国8ヶ所という広範囲にGPUを分散配置していることです。札幌、金沢、福岡、大阪、そして首都圏の複数拠点にGPUがあることで、どんなメリットがあるのでしょうか?
- 地理的制約の克服: これまで距離が離れていると難しかった拠点間のGPU連携が、IOWN® APNによってスムーズになります。これにより、地域ごとに異なるデータを使ったAI学習や、特定の地域でのみ必要となるAI推論など、地域性を考慮したAI活用が可能になります。
- リソースの柔軟な利用: 特定の拠点にリソースが集中するのを避けることができます。例えば、ある拠点のGPUが混み合っていても、別の空いている拠点のGPUをすぐに活用するといった柔軟な運用が期待できます。
- 災害対策・事業継続性: GPUリソースが分散していることで、もし特定の地域で災害が発生しても、他の拠点のGPUでAI処理を継続できる可能性が高まります。これはビジネスの継続性にとって非常に重要な要素です。
- マルチテナント対応: この実証環境では、GPUが仮想マシンやKubernetesに対応しており、複数の企業やユーザーが1つのハードウェアを効率的に利用できる「マルチテナント」形式で提供されます。これにより、さまざまな企業が手軽にこの先進的な環境を試すことができます。

<「GPU over APN testbed」のイメージ図>
AI開発の最前線!どんな検証ができるの?
この「GPU over APN Testbed」では、具体的にどんなAIワークロードの検証ができるのでしょうか?NTTドコモビジネスがこれまで取り組んできた実証テーマをベースに、以下の技術検証が可能です。
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分散AI学習: 大規模なAIモデルの学習には膨大な計算リソースと時間が必要です。複数の拠点に分散されたGPUを使って同時に学習を進めることで、学習時間を大幅に短縮したり、より大規模なモデルを扱ったりすることが可能になります。
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分散AI推論: 学習済みのAIモデルを使って予測や判断を行う「推論」も、分散環境で行うことができます。例えば、エッジデバイスで収集したデータを最寄りのGPUで高速に処理し、結果をリアルタイムで返す、といったユースケースが考えられます。
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RDMAを活用した拠点間の大容量データ転送: 「RDMA(Remote Direct Memory Access)」とは、サーバー間でCPUに負荷をかけることなく、メモリ同士を直接高速にデータ転送する技術です。これにより、低遅延・高スループット通信が実現し、AI学習に必要な大量のデータを、拠点間で効率的にやり取りできるようになります。
これらの技術検証を通じて、単にAI基盤の性能を確認するだけでなく、実際の運用を想定した環境で、システム運用面や構成設計上の課題についても検証できるのが大きな強みです。お客さまのシステム環境への将来的な展開を見据え、実践的な分散型AIワークロード検証の場を提供してくれるわけですね。
未来を創る共同実証の場
この実証環境は、企業の皆さんが分散GPUの活用を「体験できる」共同実証の場として提供されます。提供開始に先駆けて、すでに複数の企業と連携し、実際のユースケースに基づいた検証も進められているとのことです。
興味のある企業は、NTTドコモビジネスの営業担当、または本件に関するお問い合わせ先に連絡することで、この先進的な環境を利用できるとのこと。新しいAI技術の導入を検討している企業にとっては、またとないチャンスと言えるでしょう。
NTTドコモビジネスが描くAIネイティブな未来
NTTドコモビジネスは、この実証環境の提供を通じて得られた知見や技術的成果を活かし、将来的にはGPUサービスとしての展開も進めていく予定です。さらに、お客さまやパートナー企業との連携を深めながら、新たなユースケースの創出を継続的に推進していくとのこと。
これは、NTTグループが掲げるAIネイティブインフラ「AIOWN」の中核の一つである「AI-Centric ICTプラットフォーム®」構想の実現を推進するものです。AIOWNとは、お客さまのAI利用用途に合わせて必要なGPU、ネットワーク、電力などのリソースを最適化し、エッジまで含めたセキュアな利用環境と統合的なオペレーションを実現する、NTTグループのAIネイティブインフラのことです。
AI活用の進展に合わせたリソース最適化・オペレーションを実現するAIネイティブインフラ「AIOWN」の展開
AI-Centric ICTプラットフォーム®は、企業がAIを活用して生産性の抜本的改善、競争力強化、ビジネスモデル変革を進めるAI時代に最適な次世代ICTプラットフォームを目指しています。
NTT Com、ゲットワークス、NTTPCが戦略的業務提携を締結
NTTドコモビジネスは、2025年7月1日に「NTTコミュニケーションズ株式会社」から社名を変更しました。企業と地域が持続的に成長できる自律・分散・協調型社会を支える「産業・地域DXのプラットフォーマー」として、新たな価値を生み出し、豊かな社会の実現を目指しているそうです。

まとめ
NTTドコモビジネスが提供を開始した「GPU over APN Testbed」は、IOWN® APNの革新的な技術と全国に分散されたGPUリソースを組み合わせることで、AI開発や活用におけるこれまでの課題を乗り越え、新たな可能性を切り開く画期的な取り組みです。
この実証環境を通じて、企業は最先端のAIワークロードを体験し、自社のビジネスにAIをどう組み込んでいくか、具体的な検証を進めることができるでしょう。AIが社会のあらゆる分野で活躍する未来は、もうすぐそこまで来ています。NTTドコモビジネスのこの取り組みが、その未来をさらに加速させてくれることに期待が高まりますね!